2020/08/23 17:50

和菓子職人として30年が経ちました。

また、和菓子つくりの講師としても20年。
製菓専門学校で講師をするようになってからも、15年ほど経ちました。

和菓子の中で何が好きですか?と言う質問をよく受けます。
「羊羹です!」といつも答えているくらい、羊羹が大好きです。

食べる事ももちろんですが、羊羹を作ることも好きです。

羊羹を作るのには、時間と忍耐が必要です。
炊きあがるまでの間、ずっと火床からは離れられません。
刻々と様子が変わるので目が離せません。
ずっと強い火力で炊き上げるので、焦がさないようにヘラを動かし続けなければいけません。
しかも、急いでヘラを動かしては、羊羹が台無しになります。
なので、ゆっくりと、滑らかに、ダンスを踊っているようにヘラを動かします。

実は羊羹と言うのは、ものすごく進化してきた食べもなのです!

羊羹が日本に伝わったのは、鎌倉時代と言われています。
中国から様々な食文化が日本に伝わりました。
喫茶の習慣や、豆腐、みそ、お茶の栽培、製粉の技術、点心の風習、そして何より、「蒸す」という調理法。

中でも点心の風習が珍しかったようです。決まった食事以外に取る間食を意味する点心。
羹類(あつものるい)麺類(めんるい)饅頭類(まんじゅうるい)餅類(もちるい)など、
バリエーションも豊かでした。
その頃は点心で食べられるものを「茶の子」「茶菓子」と言っていたようです。

羊羹とは?
羊羹とはそもそもは、現代でいう「ゼリー」のようなモノ。
羊のゼラチンを煮出して、冷やして固めたもの。
羊羹の「羊」は「ひつじ」
羊羹の「羹」は「あつもの」(にこごり・ゼリー)を意味します。
これが日本に入ってきたときには、「始めて食べるプルプル食感!」で大騒ぎだったことでしょう。

しかし、日本には、ひつじを食べる習慣がありません。しかも、動物を食べる(殺生はダメ)という考え方から
小豆と米粉を水で溶き、蒸したのちに冷やし固めた「プルプル食感!」の和製羊羹が広まったようです。

この頃は、砂糖はふんだんに使用されていませんでしたの、塩味の聞いた羊羹だったようです。

その後、江戸時代に「寒天」という画期的な食材が発明されて、粉と合わせてプルプルさせたものから
寒天を使用した羊羹が誕生しました。

以前の羊羹と区別させるために、寒天で作った羊羹を「煉り羊羹(ねりようかん)」と呼び、区別していました。

近年では、「煉り羊羹」が主流になっておりますので、こちらを単に「羊羹」と呼び、
鎌倉時代に開発された「和製羊羹」を「蒸し羊羹」と呼ぶようになりました。

和菓子って、鎌倉時代からワクワクするものだったんですね(^v^)